スクラムマスダーの日記

アジャイル、スクラムに関連した内容が多めです。

「SCRUMMASTER THE BOOK」を読みました!

タイトルの通りではありますが、2020/09/09に発売された「SCRUMMASTER THE BOOK」を読みました。

スクラムマスターとは、どういう存在なのか?どういう役割を果たすのか?」という内容について、丁寧に紹介されており、ぜひ読んでいただきたい本なので、このブログでも紹介させていただきます。

おすすめの対象読者

スクラムをやり始めたけど、スクラムマスターって何やってよいか全然わからない!」というスクラムマスター初心者の方に、ぜひ読んでいただきたいです。
また、会社でスクラムを取り組み始めたばかりで、スクラムについてまだ詳しくない場合は、プロダクトオーナー、開発者、経営層を含むステークホルダーの方にも、読んでいただきたいです。

この書籍は、200ページ強と、ページ数も、それほど多くありません。頑張れば十分週末で読み切ることができる分量です。
一人で悩んでいる方は、ぜひ週末に読んでださい。

アクティブブックダイアログ(ABD)やジグソー法を利用した読書会にも向いている本です。
スクラムに関わる人々で読むことも、よいと思います。

逆に、ベテランのスクラムマスターやアジャイルコーチを何年も経験されている場合は、目新しいことは少ないと思います。
(事実、僕にとっては、「この概念は、全く知らなかった!」と感じるものはありませんでした。)
しかし、"#スクラムマスター道"を始めとする、「こういった切り口で説明することができるのか!」という新鮮さがあります。
ぜひ手にとってみてください。

書籍について

ここでは、もくじの項目で書籍の全体感を紹介します。また、私がこの本で特に紹介したい内容をいくつか記します。

もくじ

本書のもくじは、以下のとおりです。

3章の"#スクラムマスター道"が本書の最もオリジナルな要素です。また、5章の"チームを構築する"は、タイトルは一般的ですが、内容はオリジナリティにあふれており、新しい考え方を提供してくれます。

スクラムマスター初心者の方は、1章の"スクラムマスターの役割と責務"、2章の"心理状態モデル"、7章の"スクラムマスターの道具箱"から、スクラムマスターの役割やどういうスキルを身につけることが望ましいかを知ることができます。

スクラムマスター道

"スクラムマスター道"とは、スクラムマスターの役割を理解するために、偉大なスクラムマスターを3つのレベルで表す概念です。
著者のZuziが提唱した概念です。

3つのレベルとは、以下の通りです。

  • レベル1:私のチーム
  • レベル2:関係性
  • レベル3:システム全体

レベルが上がるにつれて、スクラムマスター自身が担当しているスクラムチームの開発チームから、ステークホルダーを含むスクラムチーム、そして組織全体へと、考える視座があがっていきます。

最終的に、スクラムの理解・定義は「生き方」そのもの、とされています。

また、同じ組織内のスクラムマスター同士の関係においても、他のチームとの関係性を作らなかったり、相手のことを考えずに変わってもらいたいと思うなど、上記の"スクラムマスターの道"のレベル3の考えまで至っていないことがあります。

システム全体を俯瞰する視点から物事全体を考える力や、チェンジマネジメントの経験を積む必要があるとされています。

チームの毒

チームの毒とは、チームや組織を害する行動や状況です。

以下の4つがチームの毒とされています。

  • 非難する
  • 守りの姿勢
  • 壁を作る
  • 侮辱する

スクラムマスターの役割は、4つの毒についてチームに教え、毒に気づけるようにコーチングし、毒を用いず互いに指摘し合えるようにすることです。
議論には多くの毒が含まれているため、少し気をつけるだけで、非常に効果があるとされています。

アジャイルの車輪

スクラムマスターは組人や組織の変化を先導する必要があります。しかし、単に新しいからやるといっただけでは、理由にはなりません。
変化する理由はどういうものであるか?、変化するタイミングとしてはいつがよいのか?といったことをチームで理解するために、アジャイルの車輪という方法を紹介されています。

  • 市場に出すまでの時間
  • チームの健康
  • チームのコラボレーション
  • チーム外とのコミュニケーション
  • 継続的改善
  • 効率性
  • 品質
  • 変化への反応
  • 顧客からフィードバックを得る
  • デリバリーの予測可能性
  • 顧客満足
  • 生産性

この12項目において、現状とそれぞれの期待値の認識を合わせることで、どこに今取り組むべきかをチームで知るきっかけになります。

私の感想

私は、過去数年間ではありますがスクラムマスターとして仕事に携わっていました。
仕事を通して色々な経験をしたり、書籍を読んだり、技術コミュニティに参加することで、この書籍に書かれているような内容にたどり着きました。

この本を読みすすめる中で、「スクラムマスターになったときに、この本が手元にあれば…」と、スクラムマスター時代のことを思い返しました。
スクラムマスターを始めたときに、「スクラムマスターは、どういうことをしていったら良いのだろうか?」と悩んだときに、確認することで、行動が変わったのだろうと思います。
それほど、この書籍には、スクラムマスターの役割や必要なスキルについて、数多く書かれており、知ることができます。

ただ、この本には、それぞれのスキル(傾聴、コーチング、メンタリング、ティーチングなど)については、それほど深堀りされておらず、端的に説明されているのみです。
詳細を知りたいという気持ちはありますが、そこを書いてしまうと、非常に分厚い読みづらい本になってしまうので、あえて書いてないのだろうなと思っています。

端的に書かれているからこそ、サクッと呼んで、指針にすることにできる書籍だと思っています。

おわりに

久しぶりに、読んだ書籍の紹介をさせていただきました。

この書籍を読み終わったあと、「スクラムマスターにもう一度チャレンジしてみたいな」と本当に思いました。
いま、自分がスクラムマスターの役割を担った際に、どういう振る舞いをできるのだろうか?、チームや組織のことをどう捉えるのか?と、思いを巡らせる内容でした。
私にとって、非常にインパクトを与えてくれた書籍になりました。

最後に、宣伝も含んでいますが、訳者の大友さんやAkiさんが運営するコミュニティで読書会もありますので、ご興味のある方は、参加してみることをおすすめします!

kyoaja.connpass.com

scrumdo-kansai.connpass.com