前回のブログ
の続きです。
今回は、認定スクラムマスター研修の2日目で学習した内容です。
研修で学習するアジェンダを決める
研修2日目の午前中は、研修参加者が学びたいかを洗い出し、学習するアジェンダを決めることに時間を使いました。
方法としては、
- 全員で学習したい項目を付箋に書き出す
- 付箋をグループ分けする
- グループごとの優先順位をつける
でした。
しかし、3に至るまで、4時間くらいは使っていたように思います。
時間通りに物事が進まなかったことは、決して悪いことではありません。
「想定した見積もりが悪かったのか?」、「単に時間がかかっていたのか?」など、理由は色々と考えられます。
それらの理由を考えるためにも、計測することが重要です。
議論がうまく進まなかった理由
アジェンダを決めるための議論がうまく進まなかった理由は、参加者の役割があいまいだったことが最大の理由だったように感じました。
議論においては役割は3種類あり、ファシリテーター、議事録、その他になります。
研修2日目午前において、ファシリテーターっぽい人と、議事録っぽい人はいましたが、それぞれの役割に期待していた内容が、参加者によって異なっていたと思います。
またその他の参加者も、とりあえず自分の思ったことを発言していました。もちろん、私もそのうちの1人でした。
果たすべき役割
ファシリテーター
ファシリテーターとは、議論のおけるゴールの明確化と確認を行います。現在地点の認識を持ち、参加者全員のすべき事を明らかにすることに責任を持つ。
議事録
発言内容を漏らさず、かつ内容を要約して、参加者全員が内容を理解し易くする責任を持つ。
その他
ゴールの実現に協力し、ファシリテーターが示す、すべき事に注力する。すべき事を実現、実行する為に最善を尽く責任を持つ。
視覚化の重要性
人はパニックなると9割以上能力が下がると言われています。
そのため、いまパニック状態であるかどうかを確認、認識できるようにする事が大切です。議論ができていなければ、ほぼパニック状態といってよいでしょう。
パニック状態にならず、議論をうまくすすめるためには、視覚化が重要です。
視覚化という観点で、SYSTEM THINKINGという考え方があります。
SYSTEM THINKINGのくわしい内容は、上記の動画を見ていただければと思います。研修でも同じ動画を見ました。
人は、付箋やカードを使うと、論理的、明確に考えるようになります。
また、グループで一緒に作ることで、過程を理解し、グループ内での共通理解を得ることが出来ます。
「あれ」、「それ」など代名詞で話せるチームになれば、パニック状態になりづらくなります。
スクラムについて
最初に学習するアジェンダは、スクラムの基本についてでした。この段階にくるまで、1日半かかってました・・・。
スクラムは把握したいことをほぼ把握できる
プロジェクト把握したいことは、数多くあります。
- 人・モノのリソース不足
- プロジェクトの複雑性
- プロダクト
- 製品品質
- 実現可能性
- マーケット
- テクニカル品質
など、例を挙げればキリがありません。
スクラムは、プロジェクトで把握したい98%のことを把握できると言われています。
残りの2%は、マーケットのような問題を解決してはじめて分かることです。スクラムは、問題を解決する手段ではないため、問題を解決して分かることは対象としていません。
アジャイルとスクラム
アジャイルは、2001年11月に誕生しました。
アジャイルの一種と言われているスクラムは、1993年7月、新薬開発で利用され、論文で発表されています。
スクラムの方がアジャイルより歴史があるのです。
スクラムを知るには、Core Scrum 2014を読むことが大事です。
アジャイルやスクラムへの誤解(ドキュメントがいらない、ウォーターフォールより低コスト・短納期で開発できるなど)を、拭うことは、できないと江端さんはおっしゃっていました。
2016年11月10日時点で、スクラムを教えることができるスクラムトレーナーは世界で182人しかいません。
一方、アジャイルやスクラムについて、ブログや本を書いている人は、私も含めて、何人いるかわからないほど、数多くいるためです。
最近、DeNAなどのキュレーションサイトが話題になっていますが、問題の本質は同じだと思います。
スクラムの弱点
スクラムは常に万能ということはありません。もちろん、弱点もあります。
弱点1:チームの生存期間が3ヶ月未満の場合
期間が短いと、チームの文化を作ることが出来ません。チームでの知識や技術が活用されないためです。
弱点2:プロダクトが単純であること
プロダクトの複雑性が低い場合、スクラムでは有効ではありません。
ただ、プロダクトが単純であることは、基本的にありません。リリース後のバグは、プロダクトの複雑性の象徴です。
弱点に当てはまる場合のするべきこと
スクラムの弱点に当てはまる場合は、カンバンを採用するのがよいと、江端さんはおっしゃっていました。
ただ、スクラムを続けるのか否かを決定するのは、スクラムチームです。
他の方法があることをスクラムマスターは提案する必要はあります。そのため、スクラムマスターは、ウォーターフォールも含め、色々な方法論を知っている必要があるのです。
スクラムが流行った理由
スクラムが流行った理由の2位は、「みんながやっているから」です。
他の人がやっているからやらなければならないという集団心理です。
そして、流行った理由の1位は、「売れるものを作る必要があるから」です。
昔は、とにかく作れば売れる時代がありました。日本でも、高度経済成長期やバブル時代は、まさに当てはまると思います。
しかし、今の時代は、マーケットを考慮し、売れるものを作る必要があります。
ROIのRもIも変動する要素ではありますが、Iはコントロールしやすいものです。
ウォーターフォールでは、鉄のトライアングルのスコープを固定し、納期と費用を変動させてきました。スクラムでは、納期と費用を固定化し、スコープを変動させ、マーケットと勝負する方法です。
一流のスクラムマスター
スクラムマスターについては、以下の言葉がよく言われます。
1つのチームを回せないのは、三流のスクラムマスター
複数のチームを回すのは、二流のスクラムマスター
1つのチームを回せるのは、一流のスクラムマスター
通常であれば、1つのチームより複数のチームを回せる方が優秀なように思えますが、スクラムでは、スクラムマスターは各チームに1人置くということが鉄則です。
複数のチームを持っているということは、スクラムの原則に反しているのです。1つのチームを回しているということは、他のチームにスクラムマスターがいるように組織に対して、きちんとアプローチしたスクラムマスターであるという証拠なのです。
自律的なチームであるということ
スクラムでは、自律的なチームになることが重要とされています。
プロダクトオーナーやチームが、「自律的なチームを目指すぞ!」と感じる必要はありません。スクラムマスターが、自律的なチームの状態にさせる必要があるだけです。
ただし、3ヶ月経過しても、自律的なチームにならなければ、スクラムマスターはもちろん、プロダクトオーナー、チームともに、責任があります。
自律的なチームになるには、チームメンバーが固定化されていることが重要です。自律的なチームに人を追加すると、文化が壊れてしまうからです。
プロジェクトのメンバーを増やしたい場合は、既にあるチームではなく、新たなチームを作ることがポイントです。
自律的なチームの要素
自律的なチームである要素は3つあります。
- (チームの)ゴールが明確であること
- (個人が)ゴールを達成するために、何をすべきか、すぐに判断し、行動していること
- (チームの)バウンダリーが明確であること
の3つです。
この中で一番重要なことは、「バウンダリーが明確であること」です。
バウンダリーとは、法律、会社のルールといった静的なモノと、他の人の作業をやらないこと、チームで決めたルールなどの動的なモノの2種類あります。
明確であるとは、チーム内での認識が同じであるということです。ただ明文化されていることではありません。
"Say its done"を許さない
人は出来ていないことでも、出来ている、"Say its done"と言います。
プロジェクトの進捗で、進捗が80%までは順調に進んでいるにも関わらず、最後の方になると、なかなか100%にならないことがありますが、まさに"Say its done"の典型です。
もちろん必ず嘘をついているというわけではありませんが、スクラムでは動くものを確認することで、"Say its done"という状況を許容しないです。言葉ではなく、モノで確認するのが、スクラムです。
おわりに
研修2日目は、議論の進め方を学習したこともあり、後半はかなりスムーズに議論をすすめることができたように思います。
その結果、スクラムについて、江端さんから色々と教えていただき、理解を深めることが出来ました。
おまけ
懇親会のお店
研修2日目の懇親会のお店は、播鳥 西中島店でした。
4,000円のコースで、大満足でした。 [
私より年齢の若いスクラムマスター経験ありの参加者の方と、色々とお話しました。
東京は、20代でもスクラムマスターとして活躍されている方が、たくさんいるようです。
大阪では、全然見かけないので、頑張って増やそうと思います。増やしている間に、私が30歳になってしまいそうですが!
二次会は、串のきっしゃんでした。こちらは、参加してないですが、1日目に大阪ではじめて串かつを食べた方も多く、好評でした。